2020年の大統領選の再現を予測する声が早くも出ている。支持候補の違いによる米国の分断と対立が進まないことを願う。
来年11月の次期米大統領選で、バイデン大統領が民主党から再選出馬すると表明した。
80歳のバイデン氏は史上最高齢の米大統領で、2期目を務めれば任期終了時に86歳となる。世界で最も強大な権限を持つ職務を全うできるのか、国民の疑念は深い。
これに対して、共和党からは76歳のトランプ前大統領が一足先に出馬を表明した。
不倫口止め疑惑を巡って3月に大統領経験者として初めて起訴されたが、「魔女狩りだ」と徹底抗戦の姿勢を示している。
候補を絞り込む指名争いで、民主党はバイデン氏以外の有力な後継者が育っておらず、事実上の無風となる見通しだ。共和党でもトランプ氏がライバルに対してリードを広げている。
有権者の多くは、高齢の両氏による再対決を望んでいない。
米の世論調査によると、バイデン氏は有権者の70%、トランプ氏は60%が出馬すべきではないと回答した。また、38%は両氏の再対決を「疲弊」と表現している。
世代交代が進まないことへの失望の表れともいえよう。
米国経済には懸案が山積している。今年後半にも景気後退局面に入るとの見方があり、失業率が悪化する可能性も高い。
目下の課題は金融システムの安定だ。1日には米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行が破綻した。リーマン・ショック後最大の破綻で、今年3行目となる。
背景には、インフレを抑制するために米欧の中央銀行が急激に利上げし、銀行の経営環境が激変したことがある。
金融不安が続けば、銀行の融資が縮小していく懸念がある。企業活動が失速し、堅調な個人消費にも悪影響を及ぼしかねない。
演説でバイデン氏は、インフレ抑制法の成立など政権の経済実績を説明し、労働者重視の政策継続に意欲を見せる。
トランプ氏は「半世紀ぶりのインフレで米国の家庭は壊滅的な打撃を受けた」と主張し、現政権批判を繰り返す。
両氏はインフレ抑制と景気後退の回避という難しいかじ取りが迫られる経済政策について、説明を尽くしてもらいたい。
非難の応酬がエスカレートすれば、トランプ支持者による2年前の連邦議会議事堂襲撃のような暴挙につながりかねない。
世界の関心は米大統領選より、ロシアによるウクライナ侵攻に向けられている。米国はリーダーシップを発揮し、ウクライナを平和へと導くべきだ。
そのためにも民主、共和両党は内向きの政争を避け、超大国の責務を意識してもらいたい。
