
家族で遠出するとなれば、移動手段は車を使うことが多い。新潟県内から東京方面への旅行では関越自動車道を走る。幼い頃は後部座席、家庭を持った今は運転席と個人的な変化はあるが、谷川岳を貫く11キロもの関越トンネルを通るたびに出口が遠いと感じる。トンネル内に響く車の走行音をしばらく聞いていると、どこか別世界のような雰囲気が漂う。
東日本高速道路(NEXCO東日本)によると、関越トンネルは、山を貫いて造られた「山岳トンネル」としては日本最長だという。上下線を合わせた延長は約22キロ。実は、それが全てではない。上下線の間を並行して通る避難トンネルなどがあり、総延長は何と約40キロにもなる。
避難トンネルは、本線を掘るより前、地質調査や建設作業のために造られた。今は本線で火災が起きたときの逃げ道となっている。規模が大きいトンネルには備え付けられている場合が多いという。ほかに煙を排出するための空気の通り道もあり、関越トンネルの安全につながっている。ちなみに、これまで避難トンネルを使うような事故は起きていない。
普段立ち入ることができない避難トンネルとはどんなものだろう。そんな非日常の空間を体験できるのが、NEXCO東日本が2018年から開催しているインフラツアーだ。5月下旬、今年初のツアーに参加し、関越トンネルの裏側をのぞいてみた。...
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