
NHK連続テレビ小説「らんまん」は、自らを「草木の精」と称した植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)をモデルにしたドラマだ。学名を付けた植物が約1500種類、収集した植物標本は約40万枚といわれている。
牧野は高知県佐川町の裕福な酒蔵に生まれた。寺子屋や私塾などで、漢学や西洋の学問、英語などを学んだため、学制改革で誕生した小学校の授業には満足できず、わずか2年で自主退学してしまう。
幼い頃から「ただ何となしに草木が好き」で、高知の大自然を「天然の教場」として、さまざまな植物を採集・観察し、専門書を取り寄せては独学で勉強を重ねた。だが地方で学ぶことに限界を感じ、1884年に上京を決意。東...
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