魚沼市大白川の民宿の経営者たち。上左から「才七」の住安正信さんと裕子さん夫妻、「喜楽荘」の榎本健二さん、下左から「大雲沢ヒュッテ」の浅井拓也さん、「休み場」の浅井昌宏さん、菜美子さん夫妻、「音松荘」の浅井ふみ子さん

 新潟県魚沼市から国道252号を福島県に向かう途中、六十里越(ろくじゅうりごえ)を控えたJR只見線大白川(おおしらかわ)駅を目印に、山あいの集落が広がる。入広瀬地域の最奥、県境に位置する大白川だ。

 浅草岳(1585メートル)や守門岳(1537メートル)などに囲まれ、沢の水音が聞こえてくる山村は、登山や渓流釣りで県内外から根強い人気がある。

 貴重な資源の一つがブナ林だ。地元が半世紀にわたって守り育てる山には、新緑の季節だけでなく、葉が落ちて雪に覆われた冬でも、森林浴を楽しむ人の姿がある。

 そんな旅人を迎える民宿もまた、魅力にあふれている。

 集落では約40年前に大原スキー場が開設されると、多くの住...

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