1月1日に発生した石川県能登地方を震源とする地震は、新潟県への帰省客たちを足止めした。元日の上越新幹線は一時全区間で停止し、新潟行きは越後湯沢止まりとなった。帰省を諦めた乗客たちは「被災地が心配」と故郷を案じていた。(報道部・樋口耕勇)
埼玉県に帰省し、1日に新潟県に帰るつもりだった記者は午後4時過ぎ、大宮駅で上越新幹線新潟行きに乗車した。指定席はほぼ満席。乗車して数分後にスマートフォンの緊急地震速報のアラームが鳴り響いた。
列車は急きょ停止し、停電で照明が落ちた。北陸地方で震度7を観測したことが分かり、乗客たちはスマートフォンでニュースを調べたり、連絡を取ったりしていた。車内放送が地震の発生を伝えるが、再開のめどが立たない。
やがて電気は復旧し、午後6時前に熊谷駅(埼玉県)まで列車が進んだが、ドアは開かない。デッキでは、泣き出す幼児を母親があやし、ドアの前で座り込む人もいた。

上越新幹線の越後湯沢ー新潟の運休が決まり、熊谷駅で降りた乗客たち=1月1日午後8時前、熊谷駅
午後7時半ごろ、ドアが開き、越後湯沢駅まで運行し、それ以降は運休することが伝えられた。ただ、すぐに出発するという。慌てて荷物をまとめる人も、パニックになっている人もいた。魚沼市の実家に帰省するという20代男性は「実家は大丈夫だが、石川や新潟市が心配だ。浦佐まで行きたかったが、越後湯沢まで家族に迎えに来てもらう」と話した。
新潟駅に向かう予定だった記者は熊谷駅で下車。乗車から約3時間半。進んだ区間は1駅だった。長岡に帰省する予定だった女性は熊谷駅周辺で1泊するという。女性は「帰省は2日以降、考え直す」と不安そうだった。新潟市中央区に実家がある東京の30代男性は「運休はこういう状況なので仕方ない。実家と連絡が取れて良かった」と安堵(あんど)していた。
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