原子力災害対策指針の見直しについて議論する原子力規制委員会=1月17日、東京
原子力災害対策指針の見直しについて議論する原子力規制委員会=1月17日、東京

 能登半島地震で家屋の倒壊やライフラインの寸断が多発したことを受け、原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。国家行政組織法3条に基づき、人事や予算を独自に執行できて独立性が高い「三条委員会」として環境省の外局に位置付けられる。は、原発事故時に屋内退避原発の事故などにより、放射性物質が放出されている中で避難行動を取ることで被ばくすることを避けるため、自宅など屋内施設にとどまること。国は原発からおおむね半径5~30キロ圏に住む人は、放射性物質が放出された場合は「屋内退避」するとしている。屋内退避中は戸締まりや換気設備を止めることなどが必要となり、数日間継続することも想定されている。を原則とする内容を含む「原子力災害対策指針(原災指針)自治体や国の機関、電力会社などの原子力事業者などが、原子力災害対策を円滑に進めるために定められた指針。原発などの施設周辺に住む住民が、緊急時に放射線による「重篤な確定的影響」を回避または最小化することを大きな目的とする。指針の目的には「住民の視点」に立った防災計画を策定することなどが書かれている。」の見直しに着手した。指針は各自治体の避難計画の前提となっており、東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県の市町村は議論の行方に注目する。見直しでも屋内退避の重要性自体は維持されるとみられるが、自然災害と重なった場合に有効なのか疑問の声も上がる。

 「屋内退避のタイミングや期間が...

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