
地域の人のために料理を用意する安田和弘さん(左)と妻の真生未さん(左から2人目)=1月26日、石川県七尾市
能登半島地震の影響で、石川県七尾市では広範囲で断水が続いている。1月1日の発生から1カ月近くたっても「日常」はまだ遠い。その中で新潟市西区から移住し旅宿を経営する安田和弘さん(50)と真生未(まうみ)さん(49)夫婦が地域のために奮闘している。自宅の井戸水を開放し、避難所に身を寄せる人に料理を振る舞う。「移住を受け入れてくれた恩返しかな」。地域の絆やつながりを感じながら、被災を乗り越えようとしている。(本社取材班・奥村直之、写真は金子悟)
新潟市西区出身の和弘さんは会社員をやめ、2019年に真生未さんと七尾市に移住した。真生未さんの祖父母の家を改装し、犬と泊まれる宿を売りにした「旅宿 やす田」を始めた。
「犬と泊まれる場所は少ない。特化した民宿を作りたかった」。看板犬「ふぁび」とともに多くの宿泊者を迎えてきた。

元日の夕方。宿泊客2人が到着した直後に地震が発生した。宿の倒壊は免れたが、壁の一部に亀裂が入り、外のブロック塀は崩れた。すぐに車に飛び乗り、...
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