
数カ月前、手術のため入院した。術後しばらくして病室に夕食が運ばれてきた。しかし、痛みでとても食べる気になれない。
看護師に度々促され、何とか起き上がって一口食べてみた。「おいしい」。瞬く間に平らげた。
入院中の3食はほぼ完食した。病院食は当然ながら栄養バランスが良く、意外といったら失礼だがメニューはバラエティーに富み、味も良かった。食べ物をかみしめると「生きている」と感じられた。ありがたかった。
医師や医療スタッフの皆さんのおかげもあり順調に回復し、元気になった。
そこでふと、気になった。病棟では朝から晩まで働く医師を見かけた。多忙な医師は日頃どんな食事を取っているのだろう。「医者の不養生」という言葉もある。
4人の医師の元に行き日々の食事について聞くと、“四者四様”ではあるが共通していたのは食事を大切にしていた点だ。
新潟県医師会会長の堂前洋一郎さん(73)=新潟市西区=は、朝食を自分で作る。「冷蔵庫にあるものや、ご近所の頂き物で作っちゃう」と話し、簡単にできる料理が中心。心がけているのは野菜をしっかり取ることだ。
「新潟糖尿病クリニック」(新潟市西区)院長の鈴木克典さん(59)は、糖尿病患者に指導している食生活を自ら実践する。糖質制限をうたうダイエット本もあるが「動脈硬化につながる可能性があるので、炭水化物はしっかり取った方がいい」と訴える。
医師が日頃味わっている食事、名付けて「医師めし」を参考に、食から健康を見直してみてはいかが。...
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