
新型コロナウイルスの影響で、自宅で食事を作る機会が増えた。近頃は料理を引き立てる陶器に興味がある。白を基調としたシンプルな磁器に比べ、肉厚で温かみがある。使い込むほど味わいが増すところも魅力の一つ。雑誌やインターネットの情報をヒントに、気になる物があると少しずつ集めている。
実際に使ってみると、心地よい重さ、手触り、口当たりの良さなど、触感を楽しみながら食事ができるようになった。派手さはないが、自然な色味が日々の食卓に豊かさを添えてくれる。
昨年没後60年を迎えた民芸運動の提唱者、柳宗悦(むねよし)は、大量生産品や欧米文化が浸透し始めた時代に、失われていく日本の手仕事の未来を案じた。かつて「...
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