ふとメロディーが聞こえてきた。懐かしい曲だが、タイトルがどうにも思い出せない。一部のスマートフォンには「鼻歌検索」という機能があると同僚が教えてくれた。スマホに向かってハミングしたり、口笛を吹いたりすれば曲名を検索してくれるという
▼さっそくやってみると、すっかり忘れていたタイトルが候補の一番上に表示された。うれしくなって、知っている曲でも試してみた。かなりの確率で正解が表示されるが、時々は「曲を特定できませんでした」と返ってくる。こちらが調子っぱずれだったせいかと苦笑いする
▼周囲に人がいると恥ずかしいが、自分だけだったので堂々と歌を響かせた。数曲歌うと、何だかすっきりした。いい気分転換になって、自分でもリラックスしたのが分かる。鼻歌の効能だと、勝手に思い込むことにする
▼寒い日が多かった3月が終わり、4月に入ると春の様相が濃くなった。外を歩くと花々の色が目に入ってくる。鳥のさえずりも耳に心地よい。こちらからも自然とメロディーが出てこようというものだ。気分がいい時に出てくるのが鼻歌である
▼リラックスしたい時や緊張を和らげたい時に歌う手もあるだろう。タイトルや歌詞が思い出せなくても、うろ覚えでも気にすることはない。何ならメロディーも適当だっていい。自分のためなのだ。難しいことなどしなくてもいい
▼新年度の緊張も鼻歌が和らげてくれる。小欄も、こんなたわいないテーマの日は鼻歌交じりで読んでいただければ。