ハリウッド制作陣による世界配信ドラマ「SHOGUN 将軍」が、2024年春、国内外で大きな話題を集めている。俳優の真田広之さんがプロデューサー兼主演を務め、日本の時代劇スタッフを撮影現場のカナダに集結させて作り上げた、スケールの大きい戦国スペクタクルだ。2月末の初回配信後、第1、2話はわずか6日間で世界で900万回の再生回数を記録したという。この作品の重要な役どころの一人で、野心に満ちた若き侍・樫木央海(かしぎおうみ)を演じたのは新潟県長岡市出身の俳優・金井浩人さん(31)。ベテラン俳優陣と互角に渡り合う演技を見せ、存在感を放った。郷里を離れて11年。シリアスな演技からコミカルな役までこなす俳優として、幼い頃から大好きだったという映画の世界で、しなやかに、確かな歩みを刻んでいる。
地元舞台の映画「この空の花」出演が転機
現場の熱量に圧倒 故大林宣彦監督の手のぬくもり宝物
金井さんは1992年、新潟県長岡市で生まれた。映画好きの父と、幼い頃からテレビの日曜洋画劇場を毎週のように見て育ち、自然に映画にのめり込む。高校時代は学校から帰ると洋画、邦画を問わずレンタルした作品を鑑賞し、ノートに記録するのが日課だった。
毎月30本以上、浴びるように映画を見るうちに、「将来は映画の仕事をしたい」という気持ちが高まった。高校卒業後、まずは東京で映画業界に入ろうと、長岡でアルバイトをしながら資金をためていたころ、映画に関わる最初のチャンスに出合う。故大林宣彦監督とクルーが「この空の花 長岡花火物語」を長岡で撮影するため、地元出演者とボランティアスタッフを募集していたのだ。
演技を学んだことはない。いきなり俳優を志願する勇気はなく、規定通り顔写真付きの履歴書でスタッフに応募したところ、履歴書を見たプロデューサーから出演の依頼を受けた。花火を見る家族の一員として、1日だけ、1カットのみ撮影に加わることになった。
撮影現場に足を踏み入れた時は「有頂天で、ドキドキして、始終興奮していた」と振り返る。辺りを照らす強烈な照明の中、スタッフがきびきびと動き回り、それまで映画やドラマでしか見たことのなかった俳優たちが目の前にいる。見慣れているはずの信濃川の情景が、特別なものに感じられた。「良い作品にする」という目標にその場の全員が向かう熱量に圧倒されたまま撮影は終わった。
「実は、この作品を見返すたびに毎回、冒頭で泣いてしまう」ほど金井さんの思い入れは強い。「1日だけの撮影参加でしたが、...












