能登半島地震は、原発の防災対策への疑問を改めて突きつけた。原発の安全性議論の土台となる地震研究は、どこまで深まっているのか。原発の設備や、事故時の住民避難の態勢は十分なのか。長期企画「誰のための原発か 新潟から問う」の今シリーズでは、自然の脅威が浮き彫りにした課題を検証する。(7回続きの4)=敬称略=

 能登半島中央部、石川県志賀町の海岸部にある北陸電力志賀原発北陸電力が運営する原発。1~2号機まである。1号機は1993年に営業運転を開始、設備容量は54万キロワット。2号機は135・8万キロワットで、2006年に営業運転開始。東京電力と同じ沸騰水型炉(BWR)で、2号機は改良型(ABWR)。。2基の原子炉は、東京電力福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東電福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。があった2011年から運転を停止している。

 元日の能登半島地震では志賀町で震度7、志賀原発では1号機原子炉建屋の地下で震度5強を観測。原発の被害状況を伝える北陸電の発表文には、「外部への放射能の影響はない」「安全上問題となる被害は確認されていない」といった文言が繰り返し記述された。

 だが、...

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