能登半島地震は、原発の防災対策への疑問を改めて突きつけた。原発の安全性議論の土台となる地震研究は、どこまで深まっているのか。原発の設備や、事故時の住民避難の態勢は十分なのか。長期企画「誰のための原発か 新潟から問う」の今シリーズでは、自然の脅威が浮き彫りにした課題を検証する。(7回続きの3)=敬称略=

 突堤に囲まれ、海水が満ちているはずの港内は、元から地面だったかのように海底が露出していた。2024年1月1日の能登半島地震から1カ月が過ぎた2月上旬、石川県輪島市の黒島漁港にはうっすらと雪が積もっていた。

 黒島漁港がある輪島市西部は、地震地下で起こる岩盤がずれ動く現象。プレート(岩盤)が動き、押したり引いたりする力が加わることで、大地にゆがみが蓄積され、ゆがみが限界に達すると断層面を境に急速にずれ動く。ずれの衝撃が地面に伝わり、地面が揺れたものを「地震動」や「地震」と呼ぶ。により最大で約4メートルという激しい地盤の隆起に見舞われた。海岸線は海側に大きく移動し、干上がった漁港は船が使用できない状態になった。

 能登半島地震で、...

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