4月の新入社員は笑顔の出勤が続いているだろうか。接客や製造ラインでいきなり手痛いミスをして、しおれている人もいるだろう。春の陽光に目がくらみ、しばし落ち込むのもまた新人だ
▼新入社員のタイプを民間シンクタンクの産労総合研究所が発表している。本年度は「セレクト上手な新NISAタイプ」という。学生時代のほとんどを感染禍に耐え忍んだ世代である
▼授業どころか、サークル活動も直接の対面は限られた。ひざ詰めの話し合いなどは少し苦手かもしれない。でも、物心ついた頃からスマホを使いこなすホープたちだ。一人で情報を集めて、取捨選択して前へ進むすべには、きっとたけている
▼そこに今年始まった新NISA(少額投資非課税制度)を重ねたようだ。この制度には、コツコツ型の積立枠と積極型の成長投資枠がある。それをどう組み合わせて進むのか。新人たちは「セレクト上手」と見られているようだ
▼岸田政権肝いりの新NISAは元手資産のある富裕層優遇策という見方も根強い。新入社員は学資ローンの返済に追われるなど、NISAどころでない人も多い。待望の初任給からNISAを始めようという人も、円安をはじめ経済の混迷に戸惑っているはずだ
▼実質賃金は依然減少傾向である。進歩著しい生成人工知能(AI)で就職先の将来性を調べるなど朝飯前だろう。AIの返答次第でいまの職場に見切りをつける-。そんな「セレクト上手」であることも経営者のみなさん、お忘れなく。