「ショーヘイ」と言えば、多くの人が米大リーグで活躍中の大谷翔平選手を思い浮かべる。けれど、本県が生んだ「世界の巨人」ことプロレスラーのジャイアント馬場、本名・馬場正平さんのことも忘れたくない
▼プロスポーツの本場である米国での活躍では、馬場さんが先駆けだ。日本プロレス入団の翌1961年に渡米。209センチの巨体とダイナミックな動きで、全米のトップレスラーと張り合った。活躍は海を越えて伝わり、帰国した際は空港に黒山の人だかりができたほどだ
▼当時の米国は反日感情や有色人種への差別が激しかった。レストランに入ろうとしたら銃を向けられたこともあった。厳しい環境で修行を積み、師匠の力道山亡き後は全日本プロレスを設立。社長を務めながら生涯現役を貫いてプロレス黄金期を築いた。人柄も愛された国民的なビッグスターだった
▼古里の三条市では偉大な足跡を伝えようと、7月にはゆかりの品々を展示する施設が完成する予定だ。有志でつくる「三条ジャイアント馬場倶楽部(くらぶ)」も活動しており、地元の名誉市民に押し上げた
▼新潟市中央区のメディアシップでは、没後25年企画として「16文キック」を繰り出したリングシューズなどを30日まで展示している。流血したアブドーラ・ザ・ブッチャーら、ライバルが写った大会ポスターを見ると、懐かしさがこみ上げてくる
▼29日は苦楽を共にしたレスラー、グレート小鹿さんらのトークショーが開かれる。どんな話が聞けるのか楽しみだ。