県内や新潟市でも旅行客らしい外国人の姿が増えた気がする。全国の訪日客は3月に300万人を超え、月単位で過去最多だった。34年ぶりの円安だから、国内はバーゲンセール状態だ。日本製品だけでなく、バッグや時計など海外の高級ブランド品も飛ぶように売れる

▼「ブランド」という言葉には、その商品やメーカーへの信用と憧れが詰まっている。「国家ブランド指数」という評価がある。その国を外国人がどう見ているか。魅力ランキングのようなものだ

▼フランスの調査会社が毎年発表する「アンホルト-イプソス指数」が有名で、日本は2023年に世界一に輝いた。60カ国を評価し、20カ国6万人が調査に協力する。質問は文化や国民性、観光、輸出、統治、移住・投資の6分野と多彩だ

▼科学への貢献や創造性、製品の魅力が最高評価だった。とりわけ「他のどの場所とも異なっている」と、独自の持ち味が評価された。6年連続で1位だったドイツを抜いた

▼国内総生産(GDP)ではドイツに抜かれ、国力衰退が叫ばれるのに不思議な気がする。24年版の「世界幸福度ランキング」でも日本は51位と低迷する。自己肯定感が低い国民性と関係するのか。外国人が寄せてくれる好感が面はゆい

▼この国は非戦の平和国家を旗印にブランド確立を目指してきたはずだ。その理念でこそ評価されたい。ただ、近年はその土台が揺らいでいる。世界の好感度にあぐらをかいていると、いつか偽ブランドのらく印を押されかねない。

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