
どこまでも続きそうなトンネル群が、訪れる人に強い印象を与える。新潟県魚沼市湯之谷地域の通称「奥只見シルバーライン」。全長22キロの一本道のうち、トンネルは長短合わせて実に19本、計18キロに及ぶ。初めて通行した時は驚きと不安が交錯しながら、不思議な魅力を感じた。
シルバーラインが誕生したきっかけは、魚沼市と福島県檜枝岐(ひのえまた)村にまたがる奥只見ダムの建設だ。国内最大級の貯水量を誇るダムを完成させるために、不可欠なプロジェクトがあった。輸送道路の開通だった。
ダムの予定地周辺は積雪6メートルにも及ぶ豪雪地帯。雪崩の危険を回避し、膨大な資材を運ぶ専用道路が必要となった。開削は発破と人力で掘...
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