側方流動の影響で隆起したとみられる市道。長岡技術科学大などが調べている=8月下旬、新潟市西区鳥原
側方流動の影響で隆起したとみられる市道。長岡技術科学大などが調べている=8月下旬、新潟市西区鳥原

 能登半島地震2024年1月1日午後4時10分ごろに発生した石川県能登地方を震源とする地震。逆断層型で、マグニチュード(M)7.6と推定される。石川県輪島市と志賀町で震度7を記録し、北海道から九州にかけて揺れを観測した。気象庁は大津波警報を発表し、沿岸部に津波が襲来した。火災が相次ぎ、輪島市では市街地が広範囲で延焼した。液状化現象水分を多く含んだ砂質の地盤が、地震による強い揺れで液体のように流動化する現象。地表に水や砂が噴出したり、地盤が沈下したりする。土管やマンホールが浮き上がることもある。埋め立て地や干拓地など、緩い砂質で地下水位が高い場所で起こりやすい。条件を満たせば内陸でも発生する。1964年の新潟地震では橋や鉄筋コンクリートの建物といった大型構造物が崩れ、対策工法の開発が進むきっかけになった。阪神大震災や東日本大震災でも発生した。が起きた新潟市西区で、地盤がずれ動いて被害を拡大させる「側方流動」が、ほぼ平らな場所でも起きた可能性があることが、専門家による調査で分かった。側方流動は傾斜地で起こりやすいが、平たんな西区黒埼地区でも特徴的な痕跡が確認された。調査を進める長岡技術科学大学の豊田浩史教授=地盤工学=は「ごくわずかな傾斜でも、側方流動が起こるのではないか」と対策の必要性を訴えた。

 側方流動の痕跡が見つかったのは、黒埼市民会館からほど近い西区鳥原の市道。沿道の両側に住宅が立ち並ぶが、100メートル以上にわたって市道部分だけが極端に隆起している。歩道は住宅側に向かって下がり、傾斜が付いたまま。...

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