モデルハウス内で本格的なイタリア料理を楽しめる「ボスカイオーロ」。待ち時間や食後に室内を見て回れる=弥彦村上泉

 新潟県内の建築会社や工務店が、モデルハウスやショールームの新たな活用に取り組んでいる。飲食店として1棟丸ごと貸し出したり、宿泊体験を提供したりと、多様な使い方が広がっている。人口減少や資材高騰などを背景に新潟県を含め全国的に新設住宅着工戸数が減少傾向にある中、新たな需要を掘り起こす狙いがある。ただ見るだけではない、体験型のモデルハウス・ショールームを訪ねた。

(報道部・佐藤雅樹)

モデルハウスの1棟を貸し出しレストランに!来店客が他棟を見学も

二村建築(弥彦村)

 弥彦山を望みながら、本格的なイタリア料理を味わえるモデルハウスが弥彦村にある。地元の工務店、二村建築が弥彦村上泉の本社敷地内に建設した、4棟のモデルハウスの1棟を貸し出し、ランチ時間に食事を楽しめる。来店客は席の待ち時間や食後にモデルハウスも見て回れる。

 モデルハウスは2階建てで、1階のリビング・ダイニング部分が飲食店スペースとなり、2階は子ども部屋や寝室がある。ランチで訪れた弥彦村の40代女性は「友人と一緒に何度か利用している。モデルハウスのため、家に遊びに来たような感じで落ち着いた空間。居心地良く過ごせる」と笑顔を見せた。

 4棟のモデルハウスは、それぞれ趣が異なり、イタリア料理店「BOSCAIOLO(ボスカイオーロ)」が入る「弥彦山の家」は木のぬくもりが感じられるモダンな空間が広がる住宅だ。

 もともと二村建築が気軽にモデルルームに訪れてほしいと、2015年からカフェを運営していたが、2年ほどで終了。スペースを有効活用しようと、飲食店を営業できる人を探していたところ、料理人経験のある小川綾子さん=小千谷市出身=が自宅のリフォームを同社に依頼。その縁で17年に開店した。

モデルハウス1階を客席として利用しているイタリア料理店「ボスカイオーロ」=弥彦村上泉

 ランチのみの営業で、イタリアで料理修行した本場仕込みのピザやパスタなどを提供する。地元農家から仕入れた旬の野菜なども使用している。小川さんは「モデルハウスなので座敷スペースもあり、子ども連れでも安心して食事できる。食後に他の棟を見学する人もいる」と話す。

 二村建築では今後、同じ敷地内に建つ、平屋タイプの「弥彦の平屋」と規格住宅の「木の箱」を民泊施設として活用することを検討している。

 また、二村建築では本社ショールームの一部を地元住民の地域活動の場として開放している。100人ほどを収容できる多目的ホールがあり、15年ほど前から無料で貸し出している。

 以前は...

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