これも地球温暖化の影響なのだろうか。広がり続ける炎の猛威に身がすくむ思いがする。一刻も早い鎮火を願うばかりだ。
米カリフォルニア州ロサンゼルス西部や北部近郊で7日に山火事が発生し、被害が拡大している。
これまでに27人の死亡が確認された。被害の大部分を占める西部の高級住宅街パシフィックパリセーズと北部近郊アルタデナで約150平方キロが焼け、住宅など約1万棟が損壊した。
発生から10日以上たっても鎮圧できていない。被害は広がる恐れがあり、米国史上最悪の自然災害となる可能性も指摘されている。
ロサンゼルス都市圏に住む邦人は、海外の都市で最も多い約6万4千人に上る。日本人にとっても親しみのある都市を襲った火災に心が痛む。
山火事が拡大した要因は、毎年秋冬に内陸部の砂漠地帯から吹く高温で乾いた強風だ。加えて今季は昨年11~12月の降雨が極端に少なく、異常な乾燥状態が続いていたという。
発生初期に焼失面積が急拡大しており、ロサンゼルスの市長は「ハリケーン級の強風と干ばつが重なった」と説明した。
近年は各地で大規模な森林火災が続発している。
カリフォルニア州では2017年12月にも南部で山火事が発生した。1100平方キロを焼き、鎮火に1カ月以上かかった。
ハワイ・マウイ島で100人以上が亡くなった23年8月の山火事も記憶に新しい。
背景にあるとみられるのは気候変動の影響だ。バイデン大統領は「気候変動は現実の問題だ。過去4年間で壊滅的な影響を目にしてきた」と述べている。
甚大な被害を前に改めて考えさせられるのは、脱炭素など温暖化対策に取り組む必要性だ。
しかし、20日に再び大統領に就任するトランプ氏は温暖化を「でっち上げ」と公言し、米国は温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱が見込まれている。
山火事対応を巡ってトランプ氏がカリフォルニア州のニューサム知事を批判し、政治問題化していることも気がかりだ。
共和党のトランプ氏に対し、民主党のニューサム氏は将来の同党大統領候補に名前が挙がる。
今回の山火事の発端は不明で、消火用水が足りなくなるなどの問題も指摘されている。対応を検証することはもちろん大事だが、今はいたずらに政治的な対立をあおることなく、人命救助と消火作業に全力を挙げてもらいたい。
日本政府は3億円超の支援を行うと発表した。日本からも多くの支援の手を差し伸べたい。
この冬は国内、県内でも火災が相次いでいる。尊い命も失われた。一人一人が火の取り扱いに十分気を付けたい。
