
米どころとして知られる新潟。海外での和食の広がりや国内での米価高騰・品薄などでコメに注目が集まる中、新潟県の資源であるコメを武器に、付加価値を高める動きが相次ぐ。おにぎりなどはインバウンド(訪日客)で人気を集め、誘客や活性化のコンテンツとなる可能性を秘める。重点企画「NEXTコンテンツ潮流」の第1シリーズは、コメを強みに、新たな発想や工夫で価値を創造するクリエーティブな動きを追う。(9回続きの4)
「米農家が作る笹団子」-。コメの生産販売を手がける新潟森林(もりばやし)農園(新潟市秋葉区)が作る笹団子は原材料からこだわり、「もちもちした食感」が特徴の人気商品だ。県都の玄関口、JR新潟駅にある商業施設CoCoLo新潟の一角にも出店し、観光客らが買い求める。
4代続くコメ農家で、餅の製造販売などに取り組む。さらに付加価値を高めようと、2000年ごろに笹団子の販売を始めた。
原材料のコメにこだわっている。農薬を極力使わず、化学肥料を抑えて育てたもち米「こがねもち」とコシヒカリを使う。コメの粒が十分に熟してから収穫するという。
国産のヨモギの味と香り、北海道産小豆を使ったあん、乾燥していない生笹の濃い緑色も特徴だ。「昔おばあちゃんが作ってくれた笹団子」を追求し、インターネット販売も伸びている。
新潟森林農園の森林幸弘専務(44)は「笹団子をコメから作って通年販売している同規模事業所はあまりない。評価されていると思う」と話す。
同社は笹団子など加工品の需要に対応するため、25年産のこがねもちの作付面積を前年産の2倍に増やす。水田約55ヘクタール(受託分を含む)のほぼ半分で栽培する計画だ。
森林専務は「品質で負けないようにして、リピーターを増やしたい。新潟と言ったらコメ。米どころの味を広めていきたい」と力を込める。
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