
米どころとして知られる新潟。海外での和食の広がりや国内での米価高騰・品薄などでコメに注目が集まる中、新潟県の資源であるコメを武器に、付加価値を高める動きが相次ぐ。おにぎりなどはインバウンド(訪日客)で人気を集め、誘客や活性化のコンテンツとなる可能性を秘める。重点企画「NEXTコンテンツ潮流」の第1シリーズは、コメを強みに、新たな発想や工夫で価値を創造するクリエーティブな動きを追う。(9回続きの5)
「サーモンのづけ」に魚沼産コシヒカリのご飯をセットで-。サケの加工品を製造販売する加島屋(新潟市中央区)では、主力商品「キングサーモンのづけ」と魚沼産コシヒカリのパックご飯を合わせたセットが人気だ。新潟の味が一度に味わえると、20年を超えるロングセラーとなっている。
石橋伸明取締役(59)は「作り続けてきた商品はコメに合うものばかり。パックご飯を入れたことで新潟の最高級の品が自宅に届いてすぐに食べられる組み合わせにできた」とヒットの理由を説明する。
セットは2002年の夏季限定で発売した。パックご飯は大手のサトウ食品(新潟市東区)への製造委託で、加島屋のイメージカラーの紺と白を基調とした独自パッケージを採用した。

当時は現在ほどパックご飯が一般的ではなかったが、送料無料というサービスも寄与し、この期間で約4千セットが売れる大ヒットになった。お中元、お歳暮の期間限定で今も売れ続けている。
単品のパックご飯は通年で販売しており、新型ウイルス禍では帰省できない家族向けにパックご飯と「さけ茶漬」などを一緒に送る客が増えた。2019年からの5年間でパックご飯の販売量は2倍になったという。
「キングサーモンのづけ」は冷蔵で賞味期限が7日間と短い。24年に保存期間が長い冷凍の「減塩さけ茶漬」を発売した。
石橋取締役は「冷凍品と加島屋のご飯を自宅に備え付け、好きなときに食べたいという購入も見られる」と手応えを感じている。
◆コメ需要は減少もパックご飯は堅調
コメ需要が縮小する中、...