
さばいたマダイに塩を振る北原淳志さん。熟成には欠かせない手順だ=5月中旬、長岡市江陽1
海や川を見つめる長期企画「碧(あお)のシグナル」の5月シリーズは「魚尻(うおじり)交通手段が限られた江戸時代や明治時代、生魚の鮮度を保ち、運べた範囲を指す」の視点を通し、流通や小売りの変化を追います。(6回続きの5)
半身にさばかれた寺泊産のマダイに粉雪のように、塩を振ると、魚から“汗”が出てきた。数分で、身から水分が垂れてくる。それを水で洗い流す。切り身を金属のバットに置き、冷蔵庫に。ここから「熟成」という名の眠りに就く。
長岡市川西地区にある「めし処(どころ)北原」の刺し身はすべて熟成魚だ。仕入れて1カ月ほどのイサキを軽くあぶって口にすると、かむほどにうま味が広がる。身はやや柔らかい。店主の北原淳志さん(41)は「うまいでしょ」とほほ笑む。
時間をかけること...
残り1225文字(全文:1525文字)