新聞の見出しを読んでいて、これはどっちなのかと一瞬戸惑うことが最近たまにある。「米の支援要請」「輸入米拡大」 「新たな米政策」。コメなのか、米国なのか。米価高騰と関税交渉の難題を同時に抱えているが故だろう

▼政府は随意契約での備蓄米放出に踏み切り、いよいよ流通が本格化した。大胆な政策は評価されていいが、参院選に向けた思惑も見え隠れする。市場原理から外れた政策が今秋以降にどう影響してくるか、コメどころとしては心配もある

▼一方で「米騒動」の3文字が、コメの問題とは限らないと思わせる事態が年明けから続く。いちいちトランプ米大統領の振る舞いに驚かされたくもないが、これに慣れてしまってはならない

▼ハーバード大学への執拗(しつよう)な圧力には気が重くなる。政権に従順でない「エリート」が気に入らないご様子。大学が介入に反発すると、補助金や政府との契約を次々打ち切り、留学生受け入れ資格も取り消した。規制は留学生全般にも飛び火している。これで民主主義国家と言えるのか

▼トランプ氏は南アフリカの大統領に、糾弾する意図で白人迫害の証拠写真を突きつけたが、元となる映像は別の国で撮られた無関係なものだと報じられた。同じホワイトハウスでウクライナの大統領を「無礼だ」とさげすんだ場面を思い起こす

▼米印の「※」は重要事項を強調するときに用いる。コメは確かに国民の暮らしに欠かせないものだが、この印は「要注意」も意味する。なんだか妙に納得する。

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