
主食用米を使った原酒造の「越の誉 90」シリーズ=柏崎市
日本酒の酒蔵数が89と全国最多の新潟県は「淡麗辛口」の酒どころとして全国に名をはせる。健康志向の高まりや高齢化という時代の流れを受け、アルコール消費量は減少傾向にある。そうした中、伝統的酒造りが国内外で注目され、造りや味わい、売り方、楽しみ方などの面で新たな動きが出てきた。重点企画「NEXTコンテンツ潮流」第2シリーズでは、新市場を醸そうとする挑戦を追う。(7回続きの3)
コメ価格高騰で酒米の確保が課題となる中、主食用米を使った新たな味わいの人気商品が誕生している。酒造会社社員と農家が一緒に棚田を保全しながら酒米を栽培する取り組みも。原料米の“個性”を売りにした酒蔵が注目を集める。
「葉月みのり」「こしいぶき」「みずほの輝き」。いずれも主食用米だ。原酒造(柏崎市)は3種類を原料に使った商品を販売している。
葉月みのりは県内で最も早く収穫される極早生(わせ)品種として知名度が高まっている。生産者サイドから「PRのために葉月みのりで酒を造れないか」と依頼されたことがきっかけで酒造りに取り組んだ。
精米歩合は9割と、ほとんど削らず使う。生産者が丹精込めて作った主食米を削るのはもったいないとの思いからだった。原彩子常務は「コメを削らずに造ったからこその厚みとうま味、酸味が出た。削っていないからおいしい、といえる酒に仕上がった」と自信をみせる。2019年に発売した。
のちに精米歩合9割を表現して「越の誉 90(キューマル)」と名付けた。...
残り1127文字(全文:1751文字)