
趣ある蔵とれんがの煙突の周囲に、しょうゆの香ばしい匂いが漂う。1831(天保2)年創業の「越のむらさき」の建物は、醸造、発酵の製造業が集まる長岡市摂田屋地区のシンボル的な景観だ。1877(明治10)年建築の主屋と土蔵は、国の登録有形文化財となっている。社長の笠原均さん(70)は「建物を残し、街並みを維持するには、ここで働き、つくって売る事業が生きていないといけない」と力を込める。
仕込みの蔵では毎年5月ごろ、蒸した大豆、いった小麦でこうじを作る。塩水と混ぜ、1年から1年半かけて発酵、熟成させたもろみを搾ると、しょうゆの原液になる。古くからある機械や道具の修繕を重ね、大切に使っている。

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