皇居での首相任命式と閣僚認証式のため、首相官邸を出る高市早苗首相=9月21日
 皇居での首相任命式と閣僚認証式のため、首相官邸を出る高市早苗首相=9月21日
小樽商科大名誉教授の荻野富士夫さん
 治安維持法違反事件の論告求刑が行われる東京地裁に押しかけた傍聴人と被告の家族ら=1932年7月(日本電報通信社撮影)
 パレスチナ自治区ガザの解放を求め、ニューヨークで行われたデモ。アメリカのトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の似顔絵が見られた=9月

 国の重要情報を守るために必要だ―。自民党の高市早苗首相の誕生で、「スパイ防止法」への関心が高まっている。高市氏はこれまでの総裁選などで、この法律の制定を誓い、連立を組んだ日本維新の会も法整備に言及してきた。

 しかし、為政者の恣意的運用で国民の権利が侵される恐れがあると警告する専門家もいる。

 思い起こされるのは、今からちょうど100年前の1925年に制定された治安維持法だ。思想や信教の自由、社会運動などを制限し、戦争遂行にまい進していた当時の政府に盾突くものは根こそぎ取り締まられた。法解釈の拡張に次ぐ拡張で「希代の悪法」「悪法の権化」と呼ばれたという、あの法律だ。

 スパイ防止法制定をめぐる議論...

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