田中均・日本総研国際戦略研究所特別顧問
 田中均・日本総研国際戦略研究所特別顧問

 高市早苗首相は、安倍政権以来の防衛力拡充と日米安全保障体制の強化による、抑止力と対処力重視の路線を継承するとみられる。だが、日本が志向する「自由主義経済」と「国際協調」を主導するはずの米国は、トランプ大統領の下で大きく変容している。こうしたトランプ氏とどう向き合い、日本の外交・安保政策を打ち出すかが、新政権における最大の課題になると言っていい。

 トランプ氏は、一連の関税交渉に見られるように「米国第一主義」と「取引」を外交の基本とし、従来の国際秩序やリベラルな価値観を軽視するかのような政策を展開している。安保面では、同盟国に対しても危機の際にコミットメント(関与)があるのか不透明だ。信頼性の低...

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