北海道・知床の世界遺産地域にある道路を歩くヒグマの親子=5月、北海道斜里町
北海道・知床の世界遺産地域にある道路を歩くヒグマの親子=5月、北海道斜里町
北海道・知床半島の羅臼岳=9月、北海道羅臼町
草刈りをする「クマ活」の参加者=5月、北海道斜里町
上は監視カメラ設置前の2024年10月、ヒグマを待ち伏せる観光客らの車か滞留するイワウベツ川周辺。下は今年9月、監視カメラ設置後、待ち伏せ行為が減った様子=北海道斜里町、環境省提供

 世界自然遺産の北海道・知床。羅臼岳から西へ流れ、オホーツク海に注ぐイワウベツ川の近くの道路には、20台以上の車が止まり、渋滞が起きていた。出没するヒグマを目当てに、詰めかけた観光客だ。カメラを構えて待ち伏せし、巡回する環境省の職員の注意は無視。ヒグマにつきまとったり、餌付けをしたりする姿も見られた。

 「ヒグマとの距離感はここ数年明らかにおかしい」

 地元の斜里町で宿泊業を営む男性は、ヒグマと観光客双方の警戒感が薄まっていると感じていた。喜んでヒグマに駆け寄っていく観光客もいたという。

 今年8月、羅臼岳で登山者がヒグマに襲われて死亡した。知床には数百頭のヒグマがいるとされるが、登山者が襲われて...

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