まつやが販売する災害食=新潟市北区葛塚

 袋にお湯を入れて10分。まるで炊きたてのようなほのかな香りが食欲をそそる。コメのうまみを閉じ込めた即席かゆの「白がゆ」は、新潟市北区のコメ加工専門食品メーカー「まつや」が手がける災害食の一つ。全国の企業や市町村などで備蓄されている。

 5代目社長の松野陽一さん(60)は「一度災害に遭ってしまうと、長いスパンで闘わなければいけない。災害食でおいしさや栄養面の継続したサポートが必要だ」と力を込める。

 1907年に東京・神田で創業。粉菓子の原料となる寒梅粉を専門に製造してきた。戦後、米どころ新潟で地の利を生かした商売をしていこうと、56年に新潟工場を造り、71年には東京から拠点を移した。

 災害食を製造するきっかけは1990年代にさかのぼる。外務省の事業でエチオピア向けの援助物資製造の委託を受け、赤道を越えて運ぶ高温下でも品質を保てる高度アルファ化米粉「ライスミール」を開発。独自の製粉技術を確立したことが、災害食などさまざまな商品の製造に道を開いた。

コメをふかして、かゆの原料を製造するまつやの工場=新潟市北区葛塚

 2004年の中越地震後、県からすぐに食べられる災害食が開発できないかと打診があった。当時の災害食は食べられるまでに30分から1時間ほどかかったという。ライスミールの技術をベースに、お湯を注げばすぐ出来上がる「ライスるん」を開発。自社の災害食の第1弾となった。

 食味には特に力を入れる。「災害食だからこそ...

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