
物が捨てられないのが子どもの頃からの癖だ。たまっていく物は、「いつか直そう」と思って取ってある場合が多い。
少しだけ穴が空いてしまったニットのカーディガン、取っ手が欠けてしまったマグカップ...。車や家などと違い、服や靴といった身の回りの物は修理するよりも、新しい物を買った方が値段が安く済むこともある。でも、気に入っていたり、思い出があったりすると捨てられない。
修理の現場をのぞくと、私と同じように考える人が少なくないようだ。値段ではなく、物にまつわる思い出を大切にしている人たちにも出会えた。
割れたり欠けたりした陶器を漆で接着し、金属の粉で仕上げる「金継ぎ」の技術を学ぶ新潟市西区の会社員、...
残り3320文字(全文:3620文字)