【2021/05/03】

 新型コロナウイルスはここフランスでも収束の兆しが見えません。最初のロックダウンがあってからはや1年が過ぎました。

 パリは3回目の緩いロックダウンが続いています。観光客がいないパリは活気がないように感じる反面、静かなパリも悪くないなと思う今日このごろです。

 毎週のように政府から新たな事項や変更事項が発表され、てんやわんやです。ある人は全てがテレワークになり、パリのアパートを解約して地方の実家に行き、ある家庭は子どもたちが一日中マスクをしなければならない環境を心配して自宅学習に切り替えました。

 こんな状況で、私の生活が劇的に変わったかというと、そうでもありません。私はメゾン(パリコレクションなどに出しているブランド)で縫製の仕事をしています。仕事柄テレワークが困難なため、毎日出社しています。地下鉄は思いのほか混んでいるので、行ける日は片道35分かけて自転車通勤をしています。

 その途中、セーヌ川沿いを通ります。朝のセーヌ川を見ながら走るのはなかなか気持ちがいいものです。ロックダウンといってもスーパーには行けるし、ネットで必要な物はある程度は買えます。

 不便はないけれど、自由がない。仕事終わりに友達とレストランにも行けないし、地方に家族がいる人は週末に会いに行くこともままなりません。

 日が長くなり、家にこもるなんてきっとできないフランスの人たち。外出制限時間の午後7時ぎりぎりまでテークアウトした飲み物片手に立ち話をしたり、天気のいい日はピクニックで団らんのひとときを過ごしたりしている光景に困惑しながらも、楽しむことに妥協しない精神を尊重しつつ暮らしたいと思います。

セーヌ川沿いで集う人々

 楽しみにしている年一回の夏の日本帰国ができるかどうかという不安の中、6月中旬からは全国民がワクチンを受けられるとの発表がありました。ワクチンが感染抑制につながり、普通の生活に戻れることを願ってやみません。

◎柳由佳莉さん(新潟市中央区出身)柳さんは2004年に渡仏。パリで縫製の仕事をするクチュリールとして働いています。新潟フランス協会パリ支部のメンバーでもあります。