ニューヨーク(NY)に住んで30年になります。10年ほど前にサラリーマンを辞めて絵描きになりました。
40代半ばの遅いデビューでしたが、好きなオートバイの絵を専門に描いています。
4年前からはロンドンに拠点を置くエースカフェとのコラボにより、ヨーロッパの国々でも描くようになりました。

イタリアでのバイクのイベントにて。エースカフェのマーク・ウィルスモアー代表(右)と記念撮影
これまで同時多発テロや「Black Lives Matter」(黒人の命も大事)に関連した暴動など、歴史的な大事件に何度も遭遇してきました。
しかし、ここにきて新型コロナウイルスの感染拡大という新たな「事件」に出合うことになろうとは思いませんでした。NY市は世界的にも多くの感染者を抱える都市の一つで、多くの人が亡くなりました。
それでも私はこの街に住み続けています。その訳は米国の地方都市にもヨーロッパにも近く、交通の便がいい都市だからです。
例えば、ここNYからロサンゼルスまでは飛行機で6時間ほど。同じ時間をかければロンドンやパリまで行くことができます。
私以外にも同じような理由で、人と企業が世界中から集まっています。
世界最大の経済大国である米国の中で、ニューヨークは世界一有利な立地のはずです。しかし、新型ウイルスの感染拡大に歯止めがかからない今日、その優位性は全く生かされていません。
半ば都市閉鎖状態のこの街から、どんどん人が離れています。日本より手厚い給付金や特別手当が出てはいますが、不動産市場は高止まったまま。ニューヨーカーの暮らしの厳しい一面を実感しています。
私も昨年3月から参加予定だった全てのイベントがキャンセルされ、再開のめどが立っていません。とはいえ毎日遊んでるわけにもいかず、家にこもって作品を描いていたら、たくさんの作品が完成してしまいました。
絵描きにとっては一生に一度ぐらい、ポッカリとあいたこんな時間があるのも良いものかもしれませんね。
◎遠藤信さん(新潟市西蒲区出身)遠藤さんは56歳で、NYを拠点に活動する画家です。