【2021/03/01】

 2009年に渡仏し、パリの工房でバイオリンを修復する職人として働いています。

 パリに住む新潟出身の方々の人柄に引かれ、秋田県民であるにもかかわらず新潟県人会に入らせてもらっています。秋田も新潟も雪国ということで親近感を持っていました。

 新潟にはとても憧れがあります。というのも、バイオリン修復の仕事に使う道具を探していたとき、新潟の素晴らしい職人さんの刃物をよく目にしたからです。

 たまに日本に帰って手に取った雑誌で、新潟のおばあちゃんが一つ一つ丁寧に仕上げたヤスリが紹介されていたこともありました。新潟って、すごいなあという気持ちが膨らみました。

 パリにも新潟の物産店「キナセ」や三条市に本社がある高級箸製造の「マルナオ」があり、よく知られています。ご活躍、本当に素晴らしいと思います。

 パリでは、新型コロナウイルスがいまだに猛威を振るっています。ご存知の通り、フランスは何度かのロックダウンや外出制限など厳しい状況が続いています。私の勤める工房も営業はしておりますが、お客さまはほとんどいません。

 春から夏にかけて、普段なら多くの観光客の皆さんが楽器を求めてローマ通りへいらっしゃるのですが、昨年はもちろんそれがなかったため、他の産業と同じく大打撃を受けました。

 それでも私生活では、家族や友人、知人も元気に過ごしており、幸いでした。仕事で関わりの深い音楽家の方々も、録音やロックダウンの合間の屋外コンサートなど、できる範囲で頑張っています。見習わなければと、日々感じています。

 すべてのことが良い方向へ向かうと信じて、前向きに頑張っていきたいと思います。

職場の最寄り駅であり、パリの主要駅の一つでもあるサンラザール駅。新型ウイルス禍で人影はまばら

◎佐藤舞さん(パリ新潟県人会員)佐藤さんは1988年、秋田市出身。東京の国立音楽院バイオリン製作科卒業後、パリの工房「Atelier Guy Coquoz」で研修を始め、2014年から工房のアトリエで正社員として仕事をしています。パリ新潟県人会員でもあります。