目の前を疾走していく選手。圧倒的な迫力だ=弥彦競輪場(写真映像部・永井隆司撮影)

 「カーン、カーン、カンカンカンカン」。次第にジャン(打鐘)のテンポが勢いを増す。レースが残り1周半を切った合図だ。選手たちの脚にも一層力が入り、自転車の速度は最高で時速70キロに達する。場内は沸き立ち、観客の拳に力が入る。

レースが残り1周半となったことを知らせるジャン。全国的にも珍しいベル型をしている

 国内唯一の村営競輪場として知られる弥彦競輪場(新潟県弥彦村)は、1950年4月28日に開設された。弥彦山の麓に位置し、多くの観光客が訪れる弥彦神社に隣接する。

 ただ、競輪場と聞くと「何となく怖い」「汚い」「入りづらい」という先入観を持つ人も少なくないのでは。

 そんなイメージを払拭させるべく、弥彦競輪場は近年、観覧席や、食堂などが入るセダーハウスを大幅に改装。昭和の雰囲気が漂っていた宝光院側入場口は、テーマパークの入り口のようなゲートになった。弥彦神社側から入る入場口も今年リニューアルし、様変わりした。

 弥彦競輪場を管理、運営する弥彦村公営競技事務所長の栁川治美さん(49)は「来てもらえればイメージが変わるはず。何より生のレースはかっこいいし、迫力があるので誰でも観戦を楽しめる」と力を込める。確かに傾斜32度のバンクを走り抜ける選手を目の前で見ると迫力満点だ。

 栁川さんいわく、競馬や競艇との最大の違いは「選手自身が自転車を動かすエンジンであること」。自転車のメンテナンスも選手自身でする競輪は、まさに選手が主役のレースだ。40代、50代となっても一線で活躍するなどキャリアが長いため愛着も湧きやすく「推し」を見つけるのも面白い。

 競輪の見どころや、新しくなった施設、場内グルメなどを紹介する。

 入場無料なので、競輪になじみがない人もぶらり訪れてみてはいかが。...

残り2497文字(全文:3194文字)