越後妻有大厳寺高原キャンプ場のナイトサップとカヌー。幻想的な光景で夕涼み=十日町市松之山天水越(長岡支社・佐藤将志撮影)

 夜のとばりが下りる頃、岸を離れ、カヌーをこぎ出す。高い木々のあちこちから響いていた鳥のさえずりのBGMは、いつの間にか地上からのカエルの鳴き声に取って代わった。

 新潟県十日町市松之山天水越の越後妻有大厳寺高原キャンプ場。農業用水の池「不動池」のほとりにキャンプサイトが並ぶ。テントから出たらすぐそこが、サップと呼ばれる立ち乗りボードやカヌーの体験場。日中だけでなく、夜も手軽に水上散歩を楽しめる。

 月が照らす池の水面に音もなくすーっと出ると、サップやカヌーに取り付けられたLEDライトが水面を照らしてふわりと光る。日の落ちた水辺を進む様はさながらホタルのよう。パドルをかく手元でちゃぽん、ちゃぽんと静かに水の音が響き、心地良い。

 クライマックスは、池を挟んだ対岸に浮かび上がるキャンプの明かり。たき火やテントの光に、楽しそうなかすかなざわめきが重なる。

 大自然と人々が織りなす幻想的な風景。涼しい風を浴びながら、「真夏の夜の夢」と言葉が浮かんだ。

 梅雨が明けた。山に囲まれた新潟県の魚沼地域は、緑が一層濃くなってきた。海はないものの、森林浴を楽しみながらカヌーができるキャンプ場などがある。魚沼地域の緑の中にある清涼スポットを巡った。...

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