世界が注目した大統領選はバイデン氏が勝利宣言をしました。彼の支持者が多いマンハッタン中心部では、人々が街中で踊る文字通りのお祭り騒ぎになりました。
閑散としていたタイムズスクエアにも久々に多くの人が見られました。新型コロナウイルス対策を強く推進してきたクオモ州知事の成果なのか、ニューヨーク(NY)近郊はアメリカの都市部には珍しく感染者が比較的少なく、街の経済復活にみんなが期待しているように感じます。
とはいえ、「3密」となるレストランが当初から営業停止を迫られるなど、各方面で悪影響が出ました。
その一つ、1963年からNYで多くのニューヨーカーに愛されてきた本格日本食レストラン「レストラン日本」は、春にリニューアルオープンを控えた中で困難に直面しました。
私は、長男の「お食い初め」をぜひともレストラン日本でお願いしたかったのですが、オープンできないとのことで諦めかけていました。しかし、副社長の馬越恭弘さんに相談したところ、二つ返事でお食い初めのセットを準備してくださりました。
「こんなときだからこそ、精いっぱい幸せなニュースのお手伝いをしたい」。馬越さんはそうおっしゃいました。立派な尾頭付きのタイに始まり、およそNYではお目にかかれないお食い初めのお膳が自宅に整ったのです。その後、レストラン日本は営業を再開し、たくさんのテーブルに笑顔が戻っています。

私は最近、障害を含むさまざまな特性のある人々の多様性を価値に変える株式会社ミライロの社外CTO(最高技術責任者)を拝命しました。NYから、一度も会ったことのない日本のメンバーとリモートで仕事を進めることになります。レストラン日本にならい、国境を越え、愛情を込めてみなさんのお手伝いをしていきたいと思います。
バイデン氏は勝利宣言で「分断ではなく団結」と強調していましたが、ぜひともそうしていただきたいと心から願います。
藤崎 仁美さん(NY新潟県人会会員)
(藤崎さんは1975年、神戸市出身。長岡技術科学大学大学院修了。ニューヨーク新潟県人会員で、NYでIT会社を経営しています)