新型コロナウイルス騒ぎからすでに半年が過ぎた。マスクをする習慣のないアメリカ国民だが、ニューヨークではすっかり日常の風景になった。
大きいライオン像があるニューヨーク公立図書館の2頭のライオンたちも特大のマスクをしている。リモートワークや自宅待機が続き、道路や駐車場にテーブルを並べての飲食だったが、制限付きながらようやく店内での飲食が許可された。
米国の非常時における救済も特筆しておくべきだろう。PCR検査は誰でも無料。失業などで生活困難な状況の対策として、政府は助成金を支給することを決定した。個人納税システムにより、IRS(米国国税局)は全国民の納税記録を持っていて、それを基に国籍、人種問わず、約2週間で支給したその早業に驚いてしまった。
庶民レベルでの奉仕の精神も根付いている。コロナの脅威で、食料購入に不自由なシニアや困窮者に、ニューヨーク市や日系のNPOも、希望者に無料で食事を配達している。ボランティアが作ったマスクや折り紙をつけて、猛暑の中、ボランティアが自宅まで届けていた。
私はニューヨーク市クイーンズ区在住で、花や野菜を眺めて、癒やされながら散歩ができる。立ち話をするロシア人のおじさんは、家庭菜園で日本のキュウリやナスなどを栽培していて、その貴重な野菜を「コロナ菌はついていないよ」とジョークを言いながら、もぎ取ってくださった。自分用のマスクは日本のハンカチで作り、近所の人たちに作り方を伝授している。「折り畳むだけで、縫っていない」と言うととても驚く。

米国人にもすっかり定着している折り紙だが、私は友禅和紙の和らぎに魅了され、立体的な作品を手作りするようになった。着物と帯の組み合わせや、舞踊の動きをデザインに取り入れ、教育の場やワークショップでは、ブックマーク作りが学生たちに好評だ。和紙から四季を学び、「袖の下」や「左前」などの意味にも触れ、日本語学習の一環としている。
マンハッタンでの「友禅和紙きものアート作品展」の準備の様子
大西 鏡子さん(上越市出身)
(大西さんは日本語と古典舞踊を教えています。新潟の魅力も伝えています)