旧北国街道沿いに妻入り住宅が連なる出雲崎町の「妻入りの街並み」。約3・6キロにわたる長さは日本一とされる=出雲崎町鳴滝町(長岡支社・中里一也撮影)

 伝統的な妻入りの町家が軒を連ねる風情ある景観や、良寛の生誕地としての歴史や文化、新鮮な海産物をはじめとした豊かな食-。新潟県出雲崎町の海岸部はさまざまな楽しみがある。

 4月、柏崎総局に着任し、出雲崎町が担当となった。普段は車で回ることが多いが、ガイド「出雲崎ふるさと語りべ」の活動を取材したことをきっかけに、街歩きの面白さを知った。

 ガイドの渡辺モトさん(79)=出雲崎町=は「天領地として栄えた出雲崎は、上杉謙信、松尾芭蕉など歴史上の著名人が大勢訪れた」と教えてくれた。

 取材した日は、旧北国街道沿いの「妻入りの街並み」が続く出雲崎町尼瀬周辺を歩いた。街道沿いには、松尾芭蕉が出雲崎で詠み、「奥の細道」に収めた俳句「荒海や 佐渡によこたふ 天河」の句碑がある「芭蕉園」があった。良寛の生家の橘屋跡地に、静かに立つ「良寛堂」も趣深い。文化人が出雲崎で感じた思いを想像して、わくわくした。

 「出雲崎は観光のためにつくったのではない、昔からの歴史や文化がたくさんある。1日では語り尽くせないほど魅力ある町」と渡辺さん。かつて罪人の処刑場だった「獄門跡」や、当時の人口の多さを物語る約30にも上る寺や神社、出雲崎の逸話が書かれた看板「出雲崎よもやま話」など、歩くからこその学びや発見があった。

 出雲崎町尼瀬から井鼻まで続く、日本一長いとされる妻入りの街並みは約3・6キロ。各所に駐車場があり、全て歩かなくてもいいので気軽に訪れることができる。道の駅「越後出雲崎天領の里」からも旧北国街道へは徒歩5分ほどだ。

 渡辺さんにガイドしてもらい海岸部の観光スポットを巡るとともに、お薦めの飲食店も紹介する。...

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