全国民に指針を示すはずのトランプ大統領は具体的な対応を各州の知事に任せ、新型コロナウイルスを軽くみる言動を繰り返した。そのせいか、今でも感染・死者が後を絶たない。多々、困りものの大統領だと私は思う。アメリカからの旅行者は外国の入国規制対象になっており、陸続きのカナダ国境すら通れない状況が続く。

 幸い、ニューヨークはクオモ州知事が素晴らしいリーダーシップを発揮した。11月初めの大統領選挙を控え、かつての支持層からもトランプ氏への批判の声が上がっている。マンハッタン地区やショッピングモールも外出自粛の影響をもろに受けた。テレワークの効果が立証された多くの企業はオフィスを維持する必要がなくなった。

 通勤者や観光客が減り、老舗の高級百貨店やレストランも閉店に追い込まれた。多少の活気が戻っているとはいえ、以前のマンハッタンのにぎわいはなく、閑散としている。

 マンハッタンの富裕層の中には、早々と近隣の住宅地やロングアイランド海沿いの高級別荘地などに生活基盤を移した人も少なくない。この秋から、学校では編入学児童で満席だという。

 44年間住んでいるポートワシントンでの「巣ごもり生活」で良いこともあった。空も空気も、とてもきれいになった気がするのだ。

 いつもなら旅行で留守がちだった私だが、家でパンを焼き、ハーブガーデンの楽しみも増えた。小鳥やリスやタヌキの親子がよく出没した。

 遠くに住む娘は、以前は市販のパンを食べて頭痛がしたが、私のようにオーガニック小麦粉で添加物なしのパン作りをするようになり、食べても頭痛がしなくなったそうだ。添加物や農薬が原因だったのだろうか。

 一日も早い収束を願いつつ、今後は皆で欲張りな生活を見直し、地球に優しい「ニューノーマル」を心掛けたい。

図書館の前にあるライオン像もマスクをしている
 


ブランチャード 彰子さん(三条市出身)
 (ブランチャード彰子さんは1951年生まれ。銀行勤務を経て76年に渡米。日本国連代表部の大使秘書などを勤めました。現在は趣味のコーラスとヨガを楽しんでいます)