この夏、ロンドンでの私の生活は一変した。
昨年の夏までは、ホリデースクールで子供に陶芸を教え、陶芸ワークショップで大人に陶芸を教え、毎日忙しく過ごしていた。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)により、イギリス政府は3月下旬にロックダウンを行った。それ以降、ホリデースクールやワークショップを行っている建物が一時閉鎖され、仕事をできない状況となった。その後、規制が一部緩和され、7月から普段制作を行っているスタジオで陶芸ワークショップを開催できるようになった。
とはいうものの、新型ウイルスに対する人々の恐れはまだ強く、また運営側もソーシャルディスタンスを確保する必要があり、以前の3分の1しか生徒が集まらない。
一方、いろいろなことがオンラインで始められた。私もこれまで通っていたダンスなどをオンラインで引き続き受講できるようになった。新たに、味噌(みそ)作りなどのオンライン教室に参加し、これまでになかった自宅での生活を楽しんでいる。
仕事ができない一定期間、政府からの援助はあったが、それは生活できるような金額ではない。やむを得ず、オンラインによる陶芸のクラスを試みた。
陶芸は作る順番を教えるだけでなく、生徒一人一人の工程を画面で確認しなければならず、生徒の手元をある程度の大きさでパソコンに写す必要があり、3人が限界。今のところビジネスにはなっていないが、安心して家でできるアクティビティに貢献できることは、教える立場の者にとって喜びである。

経済的には苦しい状況が続くが、まずは皆が安心して健康的に過ごすことが第一。スローライフの中で今自分ができることは何か、何か一つ楽しみを見つけることができたらいいのではないかと、のんびりした頭で考えている。
川村 今日子(いまひこ)さん(英国新潟県人会会員)
(川村さんは父親が五泉市村松出身。2003年に渡英し、セラミックアーティストとして活躍中。過去には新潟三越で個展を開催。現在、インスタグラムimahikoceramicsで作品を紹介しています)