白人警官により長時間首を圧迫される拘束を受け、命を落とした黒人のジョージ・フロイドさんが、各地に大きな波紋を広げた。

 白人警官は逮捕されたものの人々の怒りは収まらず、新型コロナウイルス禍の中、全米のあちこちで抗議デモが行われた。

 ここニューヨークでも、一部暴徒化し火災や破壊、略奪行為もあったが、大方は平和的に「Black Lives Matter」(黒人の命も大切)のスローガンを掲げ連日、人種差別に対するデモ行進が続いた。


 そもそも、その黒人男性は偽札を出そうとしたんでしょ? お金がないなら働けばいいのに。

 と思う人もいるかもしれないが、本質はそこではない。

 先日、18歳の黒人青年が紹介していた「若い黒人が従うべき16の暗黙のルール」という動画を見た。母が作ったものだという。

 例えば、ポケットに手を入れない。フードはかぶらない。ガム一つでもレシートなしで店を出ない。買わない物を触ってはいけない。警察に質問されたら反論せず協力する。

 たとえ、その場で出会った人でも、一緒にいる相手がどんな人か確認する。白人女性をじっと見てはいけない…などなど。

 彼はそれを11歳までに覚えたという。

 どれも、私たちが普段意識せずにやっている行動だ。それを黒人の青年というだけで、あらぬ疑いをかけられないよう、日常的に意識しなければならないという事実。

 仕事を手に入れるにも貧困という問題が絡んでくる。貧しいがために十分な教育を受けられず、就職するにも同じ土俵に立てない黒人たちが多くいる。負のスパイラルなのだ。

 今回の抗議デモにはあらゆる人種が参加している。この問題を社会全体が真剣に考え、彼らが本当の意味での自由を手に入れることができたらと心から願っている。

ブルックリンブリッジでの人種差別に対する抗議デモ


大見 美砂子さん(新潟市中央区出身)
 (大見さんは短大を卒業後、OLを経て1994年に渡米しました。現在は主婦をしています)