新型コロナウイルスの世界的大流行により、ニューヨーク市の「封鎖」状態が続いています。街から活気が消え、全米で10万人以上、ニューヨーク市だけでも1万5千人以上の方が亡くなりました。大勢の人が、悲しみと先の見えない不安にさらされながら、窮屈な生活を余儀なくされ、本当に大変な時期を過ごしてきました。
ニューヨーク州は、七つの基準を満たした地域ごとに4段階に分けた経済再開を始めています。第1段階として建設業や製造業、一部の小売業(事前にオンライン等で購入した商品の受け渡し限定)。第2段階は金融などの専門サービス、不動産、小売業。ホテルや飲食業は第3段階。そして、芸術やエンターテインメントは第4段階です。
州内で再開が一番遅くなったニューヨーク市も、ようやく6月8日から第1段階が始まりした。これによって数十万人が職場復帰したそうです。最近では以前よりも交通量が増え、人出も多くなってきて、お店から音楽が聞こえ、少しずつにぎやかになってきました。店先で持ち帰り用の飲み物や食べ物を販売している飲食店も多く見られます。

こうした中で、アフリカ系アメリカ人男性が白人警察官に首を圧迫されて亡くなり、彼の死に対する大規模な抗議デモが全米各地で行われています。一時は、ごく一部の暴徒による破壊や略奪も起こり、1週間ほど夜間の外出禁止令が出される非常事態となりました。
デモの参加者の間では、他者との一定の距離が確保できていないため、感染の拡大が懸念されています。再開後に感染者が増えている他の州の例もあるので、まだ予断を許さない状況です。
新型ウイルスは、長期間にわたって付き合っていかなければならない「新しい日常」になりそうです。今の不自由な生活が、未来の自由につながって社会全体が良い方向に向かい、人々が明るい将来を紡いでいけることを願っています。
渡邊 智世子さん(南魚沼市出身)
(渡邊さんは1999年に渡米し、今はニューヨークのさい帯血バンクに勤務しています)