フランスでは5月11日、約2カ月にわたる外出禁止が緩和され、外出許可証がなくても自宅から100キロ圏内の移動が可能になりました。

 新型コロナウイルスが流行しているかどうかは「病院の受け入れ能力」「PCR検査の能力」「重症の入院患者数」の三つで判断されます。

 改善がみられたエリアの外出禁止が緩和されたものの収束へは程遠く、長期戦になりつつあります。

 外出禁止期間中、私の住んでいるエリアでは、買い物以外で街を歩く人はほとんどなく、見たことがないような静けさでした。

 昨年末からのストライキに続く形で外出禁止となりました。パリでは外出の自粛要請が出る前と比べて自転車通勤をしている人が6割以上も増えているとのことです。

 テレワークだけでなく、学校の授業のオンライン化も日本に比べたらずっとスムーズに移行できているようです。マクロン大統領の「戦争状態」との厳しい発言があってから、あっという間に世界が変わったような気がします。

 自粛直前、僕が握手をしないことで「(体に触れることについて)気にしすぎだ」と言っていた友人も、今ではソーシャルディスタンスをとるのが普通になっています。

 これまで、この国ではマスクをつけている人なんて見たことがなかったのですが、今ではマスクをして握手ではなく、手を振ってあいさつしている光景が当たり前になっています。市民に配られるマスクを取りに行ったときに、担当の方が最近日本のニュースを見ないけど大丈夫なのかと明るい感じで心配してくれました。フランスではテロの時も「連帯」という言葉が多く使われましたが、今回も同じように連帯し、みんなで乗り越えることを強調しています。

 パリ市の標語に「たゆたえども沈まず」というのがあります。新しい生活習慣や働き方など時代と共に揺れ動くものはありますが、それに順応しながら一番良い季節を過ごしたいと思います。

子どもたちによる医療従事者への感謝のメッセージ。住宅の入り口に貼られていた


水島 優さん(新発田市出身)
 (水島さんは1983年生まれ。在仏16年、雑誌や広告の仕事をしながら写真家として活動しています)