1986年、日本国際音楽コンクールの審査員として来日していた中国を代表するバイオリニスト盛中国と知り合い、中国と日本、そして世界各地で演奏活動を始めました。94年に人生の伴侶ともなり北京に在住しております。
結婚してから私は年に2回、年を越すようになりました。まずは日本で迎える元旦。日本のお正月は〈静〉の感があります。そして中国に戻ると再び年末。中国の人たちにとって一番重要な祝日、春節は農暦の1月1日で、その西暦日付は毎年変わります。新年の干支(えと)は中国ではこの春節初一に訪れます。一年間春節を家族と迎えるために頑張ってきた皆さんが里帰りをする様子はまさに民族大移動さながら。日本のお正月に比べるとにぎやかで〈動〉、パワフル感にあふれています。

しかし今年は昨年12月末からじわじわ広がり始めた新型肺炎の影響で、極力人の往来を控えた〈静〉の春節を余儀なくされました。近年中国では新年のお祝いはもっぱらスマートフォンのチャットでメッセージを送るのですが、今年は多くの友人にいったん日本へ戻った方がいい、と勧められました。一昨年主人が他界し一人で暮らしている私を心配してくれてのことでした。
春節6日目、休みが明ける予定の前日に日本に戻り、今も東京の自宅で、日々感染が拡散し、収まる気配の見えない厳しい事態に心を痛めております。そしてそんな中で確認される中日友好の報道に涙する日々。中国の友人からは、日本からの支援・応援に関する中国での報道記事やお礼のメッセージが届いています。
困難な時こそ真の友情に接する、中国の人たちは情に深く忍耐強く知恵深い、というのが、主人とその家族や多くの友人たちと中国で暮らしてきた数十年での実感です。グローバル時代、どんな問題も人類心を一つに知恵を結集し協力して解決していかなければならないと思います。非常事態にある今、中国日本携手加油!
一日も早くウイルス感染が収まることを祈っています。
瀬田 裕子さん(北京新潟県人会会員)
(瀬田さんは北京在住のピアニスト。母が三条市出身です)