アウトドア文化が浸透している米国。私も山の自然が好きで、よく山歩きに出掛けています。国内には美しい国立公園が多くありますが、その“州バージョン”である州立公園、このニューヨーク(NY)州だけでも200カ所以上が登録されています。

 カナダとの国境に位置するナイアガラの滝、州北東部に広がるアディロンダックから、住民の憩いの公園までいろいろある中でも、ニューヨーカーが気軽にハイキングを楽しむのが、ベアマウンテン、そしてハドソン・ハイランズ州立公園です。

 このうちベアマウンテンは、米国三大ロングトレイルの一つ、全長約3500キロに及ぶアパラチアン・トレイルの一部となっています。ハイカーにとっては憧れのロングトレイルですが、踏破には数カ月を要します。なかなかそんな時間は取れませんので、皆さまざまに周辺のトレイルを日帰りで楽しんでいます。

 マンハッタンからハドソン川沿いを北に電車で1時間ほど、また車でも頂上に行くことができるベアマウンテンは、日本で例えたら東京の高尾山、新潟では弥彦山あたりでしょうか。いつも多くの人でにぎわっていて、天候に恵まれたら頂上からはマンハッタンのビル群を遠くに見ることができます。

 ここからさらに北に向かい、小さくも魅力的な街、コールド・スプリングを通り過ぎると、ハドソン・ハイラインズがあります。こちらにも長短多様なトレイルが整備されており、特にチャレンジングなコースとして知られるブレイクネック・リッジの岩場の急登はお気に入りで、あれこれ試行錯誤しながら登っています。

ハドソン・ハイラインズ州立公園、ブレイクネック・リッジのビューポイントから

 日本の山々の雄大さはいつ見ても素晴らしく(そして頂上の山小屋でいただくカレーも)恋しいのですが、マンハッタンの喧騒(けんそう)を離れ、壮大なロングトレイルの一部に身を委ねてNYの自然をゆっくり楽しむのも悪くはありません。これから春本番、今年はどのトレイルに挑戦しようかと、楽しく思案を巡らせています。


金澤 理恵さん(長岡市出身)
 (金澤さんはテレビ番組制作に関わる仕事をしています)