ロンドンは今日も曇り時々雨。どこか故郷の新潟を思い出させる一面グレーな景色の下、現在ロンドン・ビジネス・スクールという大学院の経営学修士(MBA)課程に留学中です。今回はビジネス論ではなく、卒業後も大切にしていきたい二つの個人的な学びを皆さまと共有させていただきます。

 一つ目は「ダイバーシティー(多様性)」の重要性です。EU離脱実現を目指す英国で改めて議論するのは少し滑稽ですが、多様な価値観から学ぶ刺激は人生に必要不可欠だと思います。20年連続で世界MBAランキングのトップ10を維持する本大学院の最大の特徴もダイバーシティーです。生徒の90%は英国外の世界60カ国から集まった留学生であり、日々の授業は当然のこと、何げない交流から学ぶことも非常に多いです。

 例えば、同級生100人と一緒に日本に旅行に来た際、「電車が5分遅れた程度で車掌は本当に謝罪するべきか」「なぜ、暖房便座はこんなに素晴らしいのに東京よりも寒いロンドンで普及していないのか」「なぜ、歌は世界共通の娯楽なのにカラオケ文化は日本から生まれたのか」など斬新な質問を受け、改めて自身の文化や価値観を見つめ直す貴重なきっかけが多くありました。

 二つ目は「生涯教育」の重要性です。当大学院の教授であるリンダ・グラットン氏が提唱する「人生100年時代」では、ハードスキルはいずれ陳腐化していくため、変化し続ける自分と周囲に関心を持ち、学び続けるマインド(好奇心と向上心)がより大切だと感じています。

 例えば、周囲の情報量が加速度的に増えている今、適切な方法で質の高い情報を、必要なタイミングで過不足なく速やかに選別する新しいスキルの重要性が増しています。デジタルネイティブ世代となる2歳の息子が直感的にiPad(アイパッド)を使いこなす姿を見て、改めて親という立場からも、変化に挑戦し、学び、伝え続けていくことが必要だと痛感しながら、ロンドンで貴重な年越しを過ごしています。2020年が皆さまにとっても学びが多い、すてきな1年になりますように。

日本人学生有志で企画した、日本各地を回るツアーでの一コマ


青柳 貴巳さん(新潟市中央区出身)
 (青柳さんは1987年生まれ。大学卒業後、東京とロンドンで証券会社の投資銀行業務に従事し、現在留学中です)