私はニューヨーク(NY)在住のピアニストです。NYに来たきっかけは、母校マネス音楽院大学の教授、ジェローム・ローズ氏との出会いでした。高校生の時、ローズ氏主催の講習会に参加し、彼の音楽に魅了され、彼の下で勉強したいと思い、卒業と同時に渡米しました。彼は恩師でありながら私に身内のように接してくれました。ピアノはもちろん、普段は見せない温かい内面も知ることができました。
NYは芸術にあふれた街で、世界から多くの有名な音楽家がやって来ます。マネスでは、選抜ではありますが、学内外で有名な音楽家の特別レッスン(マスタークラス)を受講できました。カーネギーホール、リンカーンセンターなどで一流の音楽家の演奏を身近に聴く機会が多いだけでなく、直接お会いしてお話しすることもできました。これらを通し、日本では考えられないほどたくさんのことを学びました。
そして音楽を創造する力の一つとなる自然も、NYにはたくさんあります。
中心部のマンハッタンには南北4キロという大きなセントラルパークがあり、緑が豊かです。街から車で少し離れると、山や川、農場などもたくさんあります。高層ビルに囲まれた日常から解放され、きれいな空気に心癒やされます。

セントラルパークで。大都会の真ん中にも豊かな自然がある
そしてフレンドリーな方が多く、困っている人がいると外国人でも関係なく助け合うのはもちろん、エレベーターなどで一緒になると、気さくにたわいない話をしたりして、人の温かさを感じます。私も日本にいたころと比べてずいぶん感性が豊かになったように感じます。
NYは想像力や創造力を養い、笑顔や新たな感情を生み出す所だと思います。大変なことやつらいこともたくさんありますが、良いことも悪いことも、すべてが私の演奏する音や音楽に反映されます。コンサートやリサイタルなどを通して、私がNYで得たものを多くの人々にお伝えできることが何よりの幸せであり、それをずっと続けていくことが目標です。
三原 有利加(ゆりか)さん(NY新潟県人会会員)
(三原さんは石川県出身。桐朋女子高音楽科を卒業後、渡米。ジュリアード音楽院やマネス音楽院で伴奏員を務め、ソロピアニストとしても国際的に演奏活動を続けています)