人口減少が進む中、新潟県経済はインフラやコンテンツを生かし、人や企業をいかに呼び込むかが課題となっている。選ばれる地域に向け、エリアの価値向上を目指す新潟県内各地の「狂想曲」を追う。(7回続きの7)

 見晴らしの良い砂丘地に立つ全面ガラス張りの温室ハウス。内部の環境はコンピューターで制御され、夜間にはミニトマトを収穫するロボットが動いていた。ロボットは熟度を判断し、アームを伸ばして一度に複数の果実を取る。植物工場のような農業生産法人エンカレッジファーミング(新潟市西蒲区)のミニトマトハウスで、自動収穫ロボットの研究開発が進められている。西蒲区に未来型の農業技術が集積してきた。

 エンカレッジは2013年設立。ミニトマトハウスを17年に建設した。光や温度、湿度のほか、肥料を水に溶かした培養液を、オランダの環境制御システムで管理し、最適な生育環境をつくり出している。延べ床面積約2ヘクタールの大規模農園だ。

ミニトマトの自動収穫ロボットについて説明するエンカレッジファーミングの近藤史章さん(右)とinahoの藤井智大さん=新潟市西蒲区

 稼働して1年目は生育がうまくいかず、赤字だった。栽培責任者の近藤史章さんは「いいシステムでも使いこなせなかった」と振り返る。土地や作物に...

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