人手不足が深刻化し、各地で人の獲得競争が過熱している。企業の財産となる人を集め、成長のエンジンに-。「人財」を巡る新潟県経済のルネサンス(再興)の胎動を追う。(8回続きの3)

 「ドライバーを新たに30人採用することは難しい時代だが、M&A他の企業を買収したり合併したりすること。事業の拡大や多角化に加え、他社の技術やノウハウを取り入れて経営の強化や競争力向上につなげる。後継者不足に悩む中小にとって円滑な事業承継の手段にもなり、政府は税制面で支援している。(企業の合併・買収)なら可能だ」

 総合物流業のマルソー(新潟県三条市)の渡邉雅之社長は自信を見せる。

 物流や建設業界で4月から残業規制が強化され、深刻な人手不足が懸念される「2024年問題トラック運転手の時間外労働の上限を、働き方改革関連法に基づいて24年4月から年間960時間に規制する。1日の拘束時間なども制限し、常態化していた長時間労働を是正する。一方で、輸送能力の低下につながりかねず、荷物の配送遅れなど物流の混乱が懸念されている。」。対応が急がれる中、M&Aをてこに人材確保を図る動きが広がっている。マルソーは17年以降、矢継ぎ早のM&Aで県内外15社をグループ会社化。業界の環境変化を見据え先手を打っている。

トラックに荷物を積み込むマルソーの従業員=新潟市西蒲区

◆M&Aは異業種・新エリアへの進出にも

 17年10月に新潟県上越市の資源リサイクル会社「Wastec ENERGY(ウェスティックエナジー)」を...

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